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タイトル ライブラリアン・ラプソディ

12 めいめいのキモチ

 セイテンの霹靂!青森県産のお米「青天の霹靂」の話じゃないんです!が、最近のお米、ネーミングもパッケージもとってもオシャレで、ついついお米もジャケ買いしてしまう今日このごろ。岩手県産の「銀河のしずく」、これは宮沢賢治にちなんでつけられたネーミングね、それから山形県産の「雪若丸」、こちらはしっとりしていて白さが際立つ美少年。そして私のお気に入り山形県産の「つや姫」は、ほどよい甘さと香りが後をひく、つや姫だけにツヤがいい♪

 と、違うちがう!お米の話じゃなくて、改めて、晴天の霹靂!度重なる地震の影響もあり建物に耐震上の問題が浮上、なんと雑誌書庫の一部を図書館外へ移転することが決定したのだ。蔵書の一部が図書館から切り離されるのは、図書館界ではしばしばあることとはいえ、身体の一部をはぎ取られるようなもの。ともあれ、増える資料が当面入るだけのスペースは必須、出納しやすい配置に、資料の保存に適した湿気や気温、重さに耐えられる床強度は?などなど、それから出納のたびに図書館を出て、別の建物へ出向かないといけないから、運用は?雨の日は?台風は?と心配ごとは数あれど、待ったなし!

 資料移動の最大のポイントは、バランスのとれた配架計画にある。泣くも笑うもこの棚のプランにかかっていて、ここがライブラリアンの腕の見せどころでもある。現在どれだけの資料がどれだけの棚に入っているのか、そして今後どの部分がどれだけ増えるのかを見越して全体のバランスに配慮する。約1000棚分が該当、全体の資料の並びに最大限に考慮して、配架計画と指示書の作成となる。

挿絵1
※挿絵はクリックで拡大します。

 図書館は人・モノ・サービスの三位一体で形成される。モノには資料はもちろん、‘図書館’という建物としての役割も含まれる。近年の公共図書館は家でもなく、職場でもなく、第三の場所‘サードプレイス’としての役割も期待され、大学図書館も、知識、教養、情報や学習ネットワーク、コミュニケーション、マルチメディア、コミュニティなど期待される役割は多岐にわたる。ちなみにサードプレイスとは、社会学者レイ・オルデンバーグ『サードプレイス』に詳しく、お気に入りの場所、たまり場などインフォーマルな公共性をもった集まれる場所を指す。
 こういった状況下、大学図書館にはその役割をわかりやすくキャッチーにしたコンセプトが存在する。例えば、静岡大学附属図書館・浜松分館は、「Student’s PORT構想―学生たちの『港』」や、筑波大学附属図書館の「知識創造型図書館」、名桜大学附属図書館は「〈個性〉〈知性〉〈感性〉を育む場」といった具合である。図書館のビジュアルもコンセプトも人・モノ・サービスを繋ぐための大切なファクターである。

 ところで、資料の移動に要した段ボール総数約2,700箱、重さにして凡そ32トン越え。ついでにこの段ボール、内側が小さな波型と大きな波型の二重構造になっていて、特別頑丈に出来ている。資料運搬用の特注品、やっぱり紙って重いのよ!頑丈だけど軽量な段ボールは、学内でのラブコールも熱く、使用後は全部の引き取り手が即座に決まったのである。

 ライブラリアンは常々、資料と人の、資料を介した人と人の、(出来れば)空間と資料、そして空間と人とのよりよいコーディネーターでありたいと思っている。だから、図書館のキモチ、資料のキモチ、人のキモチに真摯に向き合いたいと。筋肉痛の体を引きずりながら、出稼ぎ!?にでた資料たちに「離れていても心はいつも一緒だよ」と、もらわれていく特注段ボールを横目につぶやくのである。

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