皆様こんにちは。いかがお過ごしでしょうか?
今年は、例年よりも暑い期間がながーく感じるのは私だけでしょうか。このコラムでも何度かお伝えしている通り、夏の暑さにめっぽう弱い私。今年は夏の始まりも早かったせいか、苦手な暑さの時期が長すぎる・・・。早く秋が来ないかな、と待ちわびる今日このごろです。
秋というと、やはり食欲の秋!?その代表格の一つが「サンマ」ではないでしょうか。焼き魚の香ばしさを感じると、おなかがぐうぅぅ、と鳴ってしまいそうです。
高校時代、自転車で約50分ほどかけて学校まで通っていました。部活が終わるともう夜です。あたりからはとってもいい香りが漂ってきます。「あー、このおうちは今日はカレーだな」「このおうちはなんとなく煮物の香り」などど友達とおしゃべりしながら自転車をこぎます。そんな中、圧倒的ないい香りが焼き魚です。
庭に七輪を持ち出して、金網で焼いているお宅もありました。片手にうちわ、片手にビールで、ぱたぱたと火加減を見ている姿は、今思い返せば、とても風情がありますね。残念ながら、最近では、ほとんど見ることはなくなってしまいました。
ということで、今月はいい香りがふわっと漂ってきそうな魚の本・・・ではなく、「魚のホネ」が登場する本を紹介します。
一冊目は『やきざかなののろい』(※1)です。ダイナミックで、インパクト大[1]な、表紙の焼き魚の目力と、タイトルの「のろい」という言葉で、怖い本なのかな?とおそるおそる開いてみると、なんだか恐怖ものではなさそうで、ほっと一安心。
ほかほかの焼き魚を目の前にしながらも、「ぼく」は焼き魚が嫌い。そうそう、私も子どものころ、骨があって食べづらいと思っていた焼き魚が苦手だった時があったなぁと思い出しました。
嫌いだといわれても焼き魚はめげません。ずっと「ぼく」を追いかけては
ちゃんと食べてくれるようにお願いします。とうとう言い争いになり、なんと焼き魚が反撃します。まさに焼き魚の呪いです。そこに現れるのは、スーパーヒーローの猫(野良)。さあ、焼き魚の呪いは解けるのでしょうか。
お魚食べるのが苦手、という子どもたちの思いを、「ぼく」がこれでもかと代弁してくれます。ですが、呪いにはご用心!?ですね。かくいう私も、今はアジの開きが大好物なので、きっと呪いにかかっているかもしれません。
ちなみに、私は魚の骨を外すことを「みどる」というのですが、皆さんは使われますか?自分でみどれるようになるまでは、「お魚みどってー」と、親に頼んでいました。
遠目の効く絵と、テンポの良いストーリーがマッチして、おはなし会などにもおすすめできる一冊です。
さて、二冊目は、まだ単行本になっていないのですが、「ちいさなかがくのとも」 2020年1月号の『さかなをたべたあとのほね』(※2)です。
焼き魚を食べた後の骨、という、日常見ているはずなのに、「おおー!」と思ってしまう表紙が印象的です。作者の加藤休ミさんの描写がとにかく美しく、クレヨンやクレパスで描かれたとは思えないほど、写実的です。いろんな魚の生の姿、料理された姿、食べられた後の姿と展開していきます。言葉もわかりやすく、擬音語も盛り込まれています。
これでもかと観察し(折り込み付録に新しい発見があったことが書かれています)、それぞれの魚の特徴だけではなく、お料理もものすごくリアリティがあり、知識の絵本のファーストステップにもおすすめできます。これから魚を食べたら、骨までちゃんとチェックしたくなっちゃいそうです。早く絵本化されることを期待している一冊です。
三冊目は、超ロングセラーの『11ぴきのねこ』(※3)です。馬場のぼるさんの描く愛嬌のあるねこたちは、キャラクターとしても大変人気があって、いろんなグッズも販売されています。
11ぴきの猫たちは、いつもおなかをすかせていました。魚を見つけたら、みんなで仲良く分けていましたが、小さい魚では、ちっともおなかがいっぱいになりません。そこに、大きな魚のうわさを聞きつけ、捕まえようと冒険の航海に旅立ちます。
見たこともないほど大きな魚に出会いますが、簡単に捕まってはくれません。猫たちは知恵を出し合い、特訓をして立ち向かいます。やっとのことで捕まえた怪物のような魚を、みんなに見せようと連れて帰ることにしますが、夜が明けたら、なんと骨になってしまっています!
この本は、『11ぴきのねこ』シリーズの1作目です。全部で6作出ていますので、魅力たっぷりのねこたちの大活躍をチェックしてみてくださいね。
今回は「魚のホネ」が登場する絵本を集めてみました。絵本を読んだ後、夕飯のお魚のホネを見比べてみるのも楽しいかもしれませんね。お魚が苦手なお子さんにもぜひ手に取ってもらえたらうれしいです。
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塚本やすし 作,
ポプラ社,2014