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タイトル 猫の手は借りられますか〜図書館肉球譚〜

第36回 除籍は図書館の腸活だ!

「蔵書の除籍が行き詰っているのでアドバイスがほしい!」先日、ある図書館からいただいた依頼です。こういう仕事は現場を見ないと始まりません。自宅から電車を乗り継いで4時間、最寄り駅からは、スマートフォンで地図を見ながら歩きました。すると、前触れもなく画面に落ちてきたのですよ、緑色のやわらかい物体が。

これは紛れもなく、鳥のフン。

ショックだったけど、不思議に腹は立ちません。消毒用ティシューで拭き取ると、むしろ爽快な気分になりました。何かのメッセージでなければ、こんなレアなことは起こらないでしょう。歩きスマホへの警告か。いや、神様にしてはありきたり過ぎる。脳裏にこんなお告げが閃きました。

「ライブラリアンよ、そなたが訪ねる図書館は、消化器系が弱っておるぞ。必要なのは、腸活である!」

挿絵
※挿絵はクリックで拡大します。

図書館の腸活?これは詳しく知りたいぞ。知り合いにしゃべれる鳥はいないので、生成AIにこんなプロンプト(指示文)を送りました。

「あなたは図書館と消化器医学に詳しいコピーライターです。図書館員向けのコラムを書く材料として、図書館の除籍と腸活の共通点を箇条書きで教えて、キャチーな文章に整えてください。」。

数秒で解説が返ってきました。(少し、神様っぽくアレンジしました。)

「情報をデトックスせよ:不要なものを整理・排除することじゃ。」
腸活は、不要な廃棄物を排除することで、健康を維持する。図書館は、時代遅れな資料や傷んだ蔵書を除籍することで、質の高い情報源のみを提供する。

「空間を再生せよ:新しい可能性のためのスペースを作るのじゃ。」
腸活で、腸内環境が改善され、新しい栄養素の吸収に適した「空間」が生まれる。除籍によって書架に空間が生まれ、新しいコレクションのための場所ができる。

「継続的にメンテナンスせよ:健康と知識のために定期的にチェックするのじゃ。」
腸活では、定期的な食生活の見直しや適切な運動によって、継続的な腸の健康を維持する。図書館もまた、定期的にコレクションの評価を行い、除籍が必要な本を選ぶことで、魅力的なコレクションを維持し続ける。

「更新、そして成長させよ:絶え間ない進化への努力を怠ってはならぬのじゃ」
腸活を通じて、人は腸内フローラを最適な状態に保ち、全身の健康をサポートする。古い資料の除籍と新しい資料の収集を通じて、図書館のコレクションは常に成長し続ける。

読み終えて、こんな言葉を思い出しました。

<利用者に図書館でいろいろな活動をしてもらおうとすると、相対的に図書館から本が少なくなる。リノベーションにあたって、すでに読まれなくなった大量の本を廃棄したとか、新館設立の設計段階で書架の数を大幅に減らしたという話をよく耳にする。『本をあまり置かない』ことは、21世紀の図書館にふさわしい決断と言えそうだ。>(吉田右子『オランダ公共図書館の挑戦』新評論、p118)

引用したのはオランダの図書館の話ですが、日本にも当てはまりそうです。21世紀にふさわしい図書館は腸活から、と鳥のフンが教えてくれたのですね。除籍に悩む現場の司書のみなさん、どうやらヒントは医学の棚にありそうですよ。「除籍に腸活の視点を!」お試しあれ。

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