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タイトル 本の風

第67回 「制しそこねた夏」

 今年の夏も暑かった。市役所からは、毎日のように熱中症に気をつけるよう、メールがあった。たまに涼しい日があるかと思えば、けっこうな雨だったりして、ほそぼそと続いているジョギングが途切れそうになった。一週間空いてしまうと、走るのが苦痛になってしまうので、なんとか早起きして30分程度走っていた。先行投資で靴やサングラスなど、グッズをそろえてしまったので、簡単にやめるわけにはいかない。
 走るモチベーションアップにしているのが鳥の観察だ。5月に友人に誘われて、日本野鳥の会の観察会に行ってからというもの、川にいる鳥を探すのが楽しみになった。ゆっくり走りながら、見分けがつくようになったアオサギやコサギ、カワウを見つけているうちに、また会おうね、と親しみを感じるようになった。
 もっと鳥のことを知りたくなり、本棚を探すと大好きな薮内正幸さんが描いた鳥の本が出てきた。『野鳥の図鑑』(薮内正幸/さく 福音館書店)のページを開けば、生命力みなぎる鳥たちがたくさん載っている。キジバトのページは親鳥がひなに餌を与えている姿が描かれていて、図鑑であるにもかかわらず、赤ちゃん絵本の名作『どうぶつのおかあさん』(小森厚/ぶん 薮内正幸/え 福音館書店)を見ているよう。積読本だったが、最近はよく読み返している。

 さて、高校受験を控えた子がいるので、夏休みはほぼ家にいた。給食のありがたみを感じながら、そうめん、ひやむぎ、うどん、冷やし中華のローテーションで何とか乗り切り、食事の支度の合間には数十年ぶりに高校野球を見ていた。
 子どもたちが野球のルールをまったくわかっていないことにも驚いたが、延長戦のルールがすっかり変わっていたことにも驚く。自分が浦島太郎になった気分だ。
 昔は新聞や雑誌とテレビの「熱闘甲子園」くらいしかチームの裏話を知る手段がなかったものが、今やネットで探せばいくらでも出てくる。今回優勝した智辨和歌山高校の寮母さんのインスタグラムは、食事の支度がメインのチャンネルだが、手際の良さはもちろん、選手たちとのかかわり方を見ているうちに、すっかりファンになってしまった。注目されて大変だと思うが、どうかみんな元気にがんばってほしいなあ、と気分はすっかり親せきのおばさんだ。
 肝心の自分の子の世話と言えば、高校見学に一緒に行ったくらいで、勉強がはかどっているのかどうかはさっぱりわからない。とりあえず『学習まんが 日本の歴史』(山本博文/監修 角川書店)を全巻揃えてはみたものの、読んでいる気配は感じられない。社会も苦手なはずなのだが。
 学校見学も英検も、漢検もボランティアの申し込みも、なんでも事前予約が必要なので、ぼんやりしていると締め切られてしまう。スマホの通知を気にしつつ、落ちた試験は受けなおし、紙の手帳とカレンダーも駆使しながら、いまどきの受験生の親は大変だなあ、とあたふたしている。(真)

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