
人はいつ、どんなときにスイッチが入るのだろうか。自分の場合それはいつも突然やってくる。今回はお正月に箱根駅伝の往路の様子を見ていて、自分も走りたくなった。
トレーニングウエアに着替えて意気揚々と出発したが、案の定10分足らずで息が上がり、さっさと散歩に切り替えた。音楽もなく、ひとりで歩いていると道端のごみが気になってしょうがない。たまたまレジ袋を持っていたので、目につくごみを拾っていたらあっという間に満杯になってしまった。自治会の草むしりに参加するのは気が重いが、自分の気分次第でごみ拾いをするのはなぜか楽しい。
走るはずの目的は不発に終わったが、お天道様が見ていてくれたのか、ずっと探していたランニング用の時計が、思わぬところからみつかった。1年前に衝動買いしたが、全然使いこなせなかったものだ。GPSがついているので、どこを走ったか、何キロペースだったのかなどが、アプリと連携すればなんでもわかる。今は豚に真珠、でしかないのだが。
今年は午年。職場の図書館のテーマ展示は「馬」にしよう、と仕事始めに準備をしていたら面白い本を見つけた。調べ学習に便利な『ウマ大図鑑 びっくり能力と種類、歴史がよくわかる!』(日本ウマ科学会/監修 PHP研究所 2013)だ。そこには馬はとてもかしこくて、記憶力もよく、図形なども3か月の学習で正解率は92.5%と書いてあった。確かに、あたまのよくない馬の話はきいたことがない。モンゴルの昔話の『スーホの白い馬』(大塚 勇三/再話 赤羽 末吉/画 福音館書店 1967)の白馬も情が深くて、とてもかしこかった。
感情が豊かで社会性もある馬はペットとしてだけでなく、アメリカでは盲導馬として活躍しているミニチュアホースもいるそうである。
『バレエをおどりたかった馬』(H・ストルテンベルグ/作 菱木晃子/訳 さとうあや/絵 福音館書店 1999)は、これまでフィクションとして読んでいたが、もしかしたら世界のどこかには踊る馬もいるかもしれない、と思えてきた。どんな話かというと、主人公の馬はある日、道に迷っていたバレエ団の人たちを見かける。道案内をしてあげた馬は、お礼にバレエを見せてもらえることになった。初めて見たバレエにすっかり心を奪われた馬は、いなかからひとりで列車にのって町へ行く。目的はバレエダンサーになることだ。自力でバレエ学校を探して、部屋を見つけ新生活が始まる。大家さんや子どもたちと友情もはぐくみながら、馬は地道に練習を積み重ね、立派なバレエダンサーを目指すのだった……。ラストシーンの馬が踊っている場面は涙なしでは読めない。期待どおりの挿絵がちょうどいいところにはいっているので、安心して読んでほしい。
りっぱな馬たちの本を読んで、今年は走ることを頑張ってみようと、さっそく口コミの評価が高いランニングシューズを買ってしまった。こうしてまた、装備だけはどんどん整っていくのである。(真)
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