
連休が終わり運動会の練習が始まった。勤務先の学校図書館の真上は音楽室なので、元気な応援歌が聞こえてくる。何度も歌っているうちにどんどん感情移入してくるのか、明日が本番かと思うくらい声が大きくなっていく。
休み時間も子どもたちは忙しそうだ。図書委員も応援団の練習で現れなかったりするし、普段はゆっくりしていく常連の子も体操着で図書室に飛び込んできて、大急ぎで本を借りて嵐のように去っていく。
一年生はだいぶ学校に慣れてきたようだ。本を読みにやってくる子もちらほらでてきた。先日は「図書室の前で待ち合わせしてからきたの」と仲良く二人で来室。一人で入るにはまだちょっと勇気がいるらしい。大型絵本の『そらまめくんのベッド』(なかやみわ/さく・え 福音館書店)を重たそうに抱えて、マットを敷いたくつろぎスペースのテーブル席で、肩を寄せ合い楽しそうに読んでいる。
自分の読みたい本が貸し出し中の時は、予約カードに書いてもらうのだが、「先生、しっぽの「ぽ」ってどう書くの?」と聞かれたりすると、(あ、まだ習ってないんだな)とひらがなの進み具合もわかってくる。ちなみにこの時は、ブックトークで紹介した『しっぽのはたらき』(川田健/ぶん 薮内正幸/え 今泉吉典/監修 福音館書店)の予約であった。
字が書けなくてもその本が読みたい、だからこの紙に書いて頼むんだ、という決意の場面に立ち会うと毎度のことながら感動する。「用意ができたらお知らせの手紙を出しますね」と約束する。
学校図書館の貸し出し期限は一週間だ。なかなか本が返ってこないこともある。そんな時はオーバーカードという名の督促状を出すと、あわてて返しにくる子もいれば、そうでない子もいる。高学年は同じクラスの図書委員に催促してもらったほうが効果的だったり、最終手段で自分が教室まで取り立てに行ったりいろいろ大変だ。
やっと予約で確保した本も、お知らせの後になかなか取りに来ないこともある。仕方なく予約を取り消して書架に戻すと、誰かがすぐに借りていってしまう。忘れたころに、しわしわになったお知らせの手紙を持ってきて、「取りに来ました」とやってくるが残念、また予約のしなおしだ。
とにもかくにも、こうやって図書館の使い方を練習してもらって、大きくなって公共図書館や大学図書館を利用することになったら、臆することなく司書に相談して自分の欲しい本を手に入れてほしい。
最近読んだ『あなたが言わなかったこと』(若松英輔/著 亜紀書房)の中にこんな一文があった。「読書におけるもっとも重要な問題は、必要な時に必要な書物、さらにいえば必要な言葉と出会い得るか否かなのである。本は必ずしも、すべてを読み、理解する必要はない。途中で終わってもかまわない。そこに記された言葉とともに存在のある深みに触れることができれば、それで構わない。通読も結果であって目標ではない。」
まったくもって、そのとおり。誰かにとって必要な本を手渡すことができるなんて、司書とはいい仕事だなあとしみじみ思うのだった。(真)
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